ソウルライクは基本的に3人称視点のものが多いですが、世にもちょっと珍しい見下ろし視点でのソウルライクアクション『No Rest for the Wicked』は皆さんもうチェックされましたか?
本記事では、『オリ』シリーズで知られるMoon Studiosが開発する本作のプレイレポートをお届けします。なお記事制作にあたってはパブリッシャーのPrivate Divisionから提供されたキーを使用しています。
また、日々改善パッチが配信されていますが、記事はリリース当初のバージョンをXboxコントローラーでプレイした体験に基づいています。
見下ろしでソウルライク!
本作は、見下ろし視点が特徴のアクションRPGです。舞台は国王の崩御や疫病の蔓延、反乱勢力と地方政府による争いで混沌を極める辺境の地・サクラ島・プレイヤーは疫病を打ち破る聖戦士「セリム」として、困難に巻き込まれながら王国の運命を切り開きます。
基本的な操作はX短押しで弱、長押しで溜め攻撃、A短押しで回避、LTでパリィ、方向キーでアイテム使用というもの。一般的なソウルライクとは操作が異なりますが、アクションゲーマーであればそれほど馴染むのには苦労しないキーバインドです。
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キャラクターはカスタマイズ可能。手長足長の特徴的なフォルムをしていますが、基本的には体型は調整不可で、顔のパーツや髪を設定するという比較的簡易的なものです。
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アクションとしては、ソウルライクらしい緊張感をしっかり備えた手堅い作りになっています。敵の予兆動作は分かりやすいモーションばかりで、敵の動きを見極めながら適切にパリィするという面白さと公平感が確保されています。本作の難しさはスタミナ管理が主であり、序盤は特に使えるスタミナが少ないため、攻撃回数や回避に残しておくよう常に意識しなければなりません。
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じっくり腰を据えて遊ぶアクションRPGとしても好感触です。マップはさまざまな通路が繋がりあった入り組んだ構造をしており、一見見えにくいところにレアアイテムが入った宝箱が置いてあったり、意外なルートへと通じていたりします。マップ上の制限も少なく、ちょっと高めの段差でもA長押しで乗り越えることができます。
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場合によってはクエストマーカーまでの道が分かりにくいという難点はあるのですが、探索しがいがあります。装備はそれなりの頻度で手に入るので、徐々に強い武器や衣装に更新していったり、装備をクラフトしたり、レベルアップでステータスを上げたりといった楽しみがあります。
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ただ、残念な点は要素同士が喧嘩してしまっていることです。まず、篝火的な役割の「ささやき声」はただのチェックポイントにしかなっておらず、体力の回復などは行えません。また、回復アイテムはマップ上で集めた食材アイテムを組み合わせて作る方式なので、数に限りがあります。敵が復活しないのは救いですが、食材も復活しないため徐々にリソースが削られていくのです。
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とはいえ、序盤は作れる料理が少ないため、ゲームが進んで素材の量も増えればこれは解消されると思われます。ただ、序盤がややチグハグな印象の体験に仕上がっているのは、やや残念に感じます。
ビジュアルは凄まじい!今後のアプデに期待
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本作の最も素晴らしい点は、圧巻のビジュアルです。見下ろしでありながらグラフィック品質はかなり素晴らしく、テクスチャは油彩画のような質感で、焚き火や日差しを美しく表現するライティングも印象的です。ゲームを開始したときから「画」になる場面が多く、スクリーンショットが捗ります。
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キャラモデルの造形やパーツはカートゥーン調で、カットシーンでも非常に滑らかに動きます。クセのあるキャラも多く、新たな会話やカットシーンが楽しみになります。『オリ』シリーズの時点で美しいアートが特徴でしたが、そうした同スタジオの強みが存分に発揮されていると感じました。
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しかし動作が重かったり、日本語末訳の部分があったりと、まだまだ荒削り。しかし、今後のアップデートでマルチプレイや農業など新規コンテンツの追加が行われるほか、フィードバックもガンガン募っているようです。今後の展開がうまくいけば、『オリとくらやみの森』に次ぐ同スタジオの代表作になり得るポテンシャルを秘めていると感じました。
『No Rest for the Wicked』は、PC(Steam)向けに配信中です。